下図は、出版科学研究所のデータ「取次ルートを経由した出版物の推定販売部数の推移」を基に、09年までの「書籍の推定販売部数」をグラフ化したものである(出所:『出版指標年報』)。
グラフで見るように、推定販売金額で見れば、1996年の2兆6563億円がピークで、書籍の販売金額のピークは、1兆1692億円であるが、書籍の推定販売部数で見ると、1988年の9億4349万冊がピークで、2009年は、7億1781万冊(4.5%減)まで減少している。
70年代の10年間には、4億7129万冊から7億6450万冊と62.2%の伸び、80年代の10年間には、7億6360万冊から9億1131万冊と19.3%の伸び、90年代の6年間には、9億0575万冊から9億1531万冊と微増したが、1997年以降はマイナス成長で、冊数で見ると09年は、70年代の水準にまで、落ち込んだことになる。
推定販売金額で見ると、1993年に書籍の売上げが、初めて1兆円を突破したが、96年の1兆900億円がピークで、マイナス成長となり、2009年は8492億円と前年比4.4%減であった。なお、返品率は40.6%、前年比0.5%増であった。
販売冊数のピークと販売金額のピークの時期のずれの一要因は、大型チェーン店の増加による市場在庫の増大が要因と見られる。
本が売れない要因のいくつかに「不況感・携帯電話の通信費増・少子化・新古書店や漫画喫茶の影響・図書館での貸し出し数の増加」さらには「インターネットの影響」などが挙げられている。
そのいずれも要因の一つには違いないが、「自社ルートの開発」や「マーケティング手法の確立」などが求められており、何よりも、「本というメディアが同時代に活きる人々へ、何をどのように伝えようとしているのか」という『出版の原点』が、いま、問われているといえよう。
なお、推定販売部数は、「取次出荷部数-小売店からの返品部数」で算出されている。
(文責:出版メディアパル/下村昭夫)