「専門書翻訳をアートする――翻訳のプロでない者にできること」
報 告:北野 収(獨協大学教授)
日 時:2024年9月27日(金)午後7時~午後8時30分(開場:午後6時45分)
場 所:文京シビックホール3階 会議室2
(東京都文京区春日1-16-21)
会 費:日本出版学会 会員 無料
日本出版学会 非会員 1,000円
学生 無料(学生証をご提示ください)
申込先:Google Formsにて受け付けます。
https://forms.gle/bS5F8GNZcDx9VEr89
主 催:日本出版学会 翻訳出版研究部会
(部会長:柴田耕太郎、担当理事:安部由紀子)
【開催概要】
日本出版学会 翻訳出版研究部会では、この度「専門書の翻訳」をテーマに研究部会を開催いたします。今回は獨協大学教授の北野収先生に「専門書翻訳をアートする――翻訳のプロでない者にできること」と題してご講演いただきます。北野先生は開発論と食料農業問題をご専門とされ、大学で教鞭を執る傍ら、これらの分野に関する執筆と翻訳にも精力的に取り組まれています。2022年には、開発学分野の大著として知られるアルトゥーロ・エスコバルの『開発との遭遇:第三世界の発明と解体』(新評論)の翻訳本を上梓されました。研究者としての翻訳への向き合い方や、訳注の付け方をはじめ作品に付加価値をもたせる工夫など、実例を挙げて解説していただきます。皆様どうぞふるってご参加ください。北野先生から、次のようなお言葉をいただいています。
一般論として、商業出版ルートで世に出される翻訳書物の訳文クオリティはプロフェッショナル・レベルであることが期待されている。しかし発行部数が僅少な専門書の場合はそうはいかない(特に文学や経済学以外)。これらの専門書の翻訳を担っているのは、いわゆる研究者であり、その実は大学教員(専任、非常勤を問わない)である。彼らは、当該分野の専門家ではあるが、必ずしも、言語や翻訳の専門家ではないし、翻訳技術も自己流でプロ・レベルからは程遠い者も散見される。「素人翻訳」による専門書は、プロの翻訳が望めない状況下における消極的な選択肢に過ぎないのだろうか。何を隠そう、私自身、かつてはそう考えていた。だが足かけ10年を費やし、機械翻訳を用いずに訳出したアルトゥーロ・エスコバル著『開発との遭遇』での経験から、「翻訳を専門としない研究者」ならではの「翻訳書づくり」というアートが存在することへの手ごたえを得た。同書を例として、私なりの「翻訳書づくり」について報告し、出版学の専門家の方々と意見交換ができれば幸いである。