「雑誌メディアからたどるライトノベルの誕生・発展の軌跡」
日 時: 2018年9月27日(木) 18時30分~
報 告: 山中智省氏(目白大学)
場 所: 日本大学法学部10号館6階 1063講堂
〒101-8375 東京都千代田区神田三崎町2丁目3番1号
http://www.law.nihon-u.ac.jp/access/index.html
交 通: JR総武線・中央線 水道橋駅 徒歩5分
都営地下鉄三田線 水道橋駅 徒歩6分
都営地下鉄新宿線・三田線,東京メトロ半蔵門線 神保町駅 徒歩7分
参加費: 無料
申込先: 準備の都合上、学会員か非会員かをご明記の上、「日本出版学会事務局」宛にメール(info@shuppan.jp)またはFAX(03-3313-7348)でお申し込みください。満席の場合のみご連絡いたします。
主 催: 雑誌研究部会(担当理事:玉川博章)
【報告要旨】
1988年1月に富士見書房が創刊し、今年30周年を迎えた雑誌『ドラゴンマガジン』は、現在「ライトノベル」と呼ばれている若年層向けエンターテインメント小説を専門に扱う〈ライトノベル雑誌〉の先駆として知られる。
先だって報告者が上梓した『ライトノベル史入門 『ドラゴンマガジン』創刊物語―狼煙を上げた先駆者たち』(勉誠出版、2018年1月)は、これまで調査研究の中心的題材となることがほとんどなく、実態も断片的な把握にとどまっていた『ドラゴンマガジン』にスポットを当て、主に同誌の創刊前後の状況を、多様な文献資料と複数の関係者の証言から明らかにするための試みであった。その結果として浮かび上がってきたのは、1980年代後半から1990年代初頭の『ドラゴンマガジン』周辺で見受けられた、後のライトノベルへと繋がっていく小説群の誕生・発展をめぐる様相である。さらに言えば、当時のビジュアル文化にふれて育った中・高校生を中心とする若年層を小説(活字)の世界へと誘い、彼らのイマジネーションを喚起して小説やその物語の楽しさを知ってもらうことを目指した編集者と作家の存在が、『ドラゴンマガジン』やライトノベルを作り上げる大きな〝原動力〟となっていたという事実であった。
本報告では、まず前掲『ライトノベル史入門 『ドラゴンマガジン』創刊物語―狼煙を上げた先駆者たち』の内容に加え、同書の上梓後に実施した追加調査の成果を踏まえながら、ライトノベルの誕生・発展に対して〈ライトノベル雑誌〉が、ひいては雑誌制作に携わっていた編集者と作家が、どのように寄与してきたのかを確認していく。その上で、ライトノベルや〈ライトノベル雑誌〉を出版研究で扱う意義や今後の研究展望について、報告者の見解をあらためて提示したいと考えている。