中国編集学会「編集出版学国際交流賞」を授与  箕輪成男 (会報108号 2002年12月)

中国編集学会から「編集出版学国際交流賞」を授与されて

箕輪成男

 今年(2002年)9月6日,雲南省昆明市で中国編集学会の創立10周年慶祝大会が催され,席上韓国の尹炯斗氏と共に,私が「編集出版学国際交流賞」を授与されました.
 授賞決定についての劉会長の報告(日本語訳)によれば,私の「出版学術研究を推し進めてきた卓越した貢献,ならびに中日両国編集出版学研究者の間の友情を促進させてきたすぐれた貢献」を表彰するためとあり,大変な光栄に感動すると同時に,過大な評価に恐縮した次第です.
 今回の慶祝大会は,中国編集学会の第7回学術年会を兼ねており,全国から百数十名の参加者が集まりました.劉会長は10周年慶祝大会の開幕挨拶において,「(1)中国における編集学研究は,中国の社会主義出版事業の発展に奉仕するためのものであり,(2)編集学は普遍的編集理論の構築を目ざすものであり,(3)編集学は科学的世界観と方法論を堅持しつつ新たな理論を追求し,(4)編集学の理論と知識によって現場編集者の武装に貢献し,(5)学界,業界,アマチュア等幅広い参加によって編集学の活性化をはかるものである.」と,5つの原則を強調されました.続いて邵益文副会長が「中国編集学会の最初の10年」と題して,長文の基調講演を発表されました.
 大会は午後から第7回学術年会に移行し,次の10年にいかに立ち向うかの議論が,1日半にわたって熱心に行なわれたようです.私たち受賞者には別のプログラムが予定されていて,討論会には参加しませんでしたが,幸い,提出された諸論文を入手することができました.その多くが編集道徳論を取上げたものであり,急激に発展する中国出版事情がモラル維持の問題に迫られていることを知りました.
 たしかに中国出版事業の激変には目をみはるものがあります.新しい5つ星ホテルが乱立している昆明の町の発展と共に,中国の恐るべきエネルギーを痛感しつつ帰国しました.