日本における出版流通の形成――購書空間,取次とは
柴野京子
今春,『書棚と平台――出版流通というメディア』を上梓した柴野京子会員が,同書の内容を踏まえて書空間(書店)の変遷を技術的側面から分析し,それを支えてきた取次システムについて発表した。
これまで陥りがちだった企業としての取次悪玉論を排し,日本における出版流通システムとしての取次の成立過程から,「書棚」「平台」という書店空間の成立を歴史的に検証。さらに,オンライン書店が登場したことによる影響や,90年代後半からの市場低迷についての分析などを加え,取次システムが持つ課題と機能,そして今後の出版流通に果たすべき役割などを指摘した。
参加者との間では,取次の成立過程やその機能,今後の展望など多様な質問・意見が交わされた。(文責:星野渉)