占領期雑誌と大衆文化  谷川建司 (2008年10月28日)

■ 雑誌研究部会   発表要旨 (2008年10月28日)

占領期雑誌と大衆文化

谷川建司

 今年度の雑誌研究部会は,サブカテゴリーの一つとして雑誌史研究のフロンティアを掲げております。そうした趣旨から,今年度第一回目の研究会は10月28日に開催され,『占領期雑誌資料集・大衆文化大系』(岩波書店,全5巻)の編著者である早稲田大学大学院教授の谷川建司氏に,この間の資料集編集作業について語っていただきました。
 2000年にメリーランド大学プランゲ文庫の占領期雑誌・雑誌情報データベース化事業が開始されて以来,研究会を組織し,並行してデータベースのプロトタイプづくり,新聞データベースとの統合を重ねてきた成果に基づいて本資料集は編まれたこと,その後の編集作業では,資料集のテーマ・目次を作成したところ,膨大な量の資料を選んでしまい,実際,資料集に収録された資料は1割にも満たないことなど,この数年の経緯も報告されました。
 今回の資料集では,占領期「雑誌」と,映画,演劇,音楽,写真,風俗,スポーツ等の「大衆文化」をキーワードに企画・編集・執筆が行われましたが,この資料集の興味深い点,面白い点などから,出版研究における新たな雑誌史,大衆文化研究の可能性を提示していただきました。また参加者からも活発な質疑応答が行われました。
(吉田則昭)