■ デジタル出版研究部会 発表要旨 (2004年11月24日)
日本語組版の課題とJIS X 4051(日本語文書の組版方法)の改正
デジタル出版部会は11月24日,神田錦町の東京電機大学において“日本語組版の課題とJIS X 4051(日本語文書の組版方法)の改正”をテーマに部会を行った。WGの幹事としてJIS X 4051の改正原案作成に携わった日本エディタースクール出版教育研究所の小林敏氏が,2004年に改正された同規格の改正内容とその問題点を報告した。
JIS X 4051は,日本語の組版方法を規定したJISであり,DTPソフトや日本語ワープロソフトなどで参照されてきた。しかし,これまでの規定内容は,改正以前の標題である“日本語文書の行組版方法”が示すように,行組版処理の範囲にとどまっていた。行組版方法に追加し,版面の組版方法,さらにページの組版方法まで拡張したのが,今回改正されたJIS X 4051: 2004である。改正内容は,行組版方法を含め多岐にわたるが,主に次の点について報告が行われた。
1 ルビ処理 従来のモノルビとグループルビの処理方法では,熟語のルビの自動処理には難点があり,“熟語ルビ”という概念を定義し,その処理方法を規定している。熟語ルビは,モノルビとグループルビを折衷した処理を行うものである。
2 見出し処理 見出しには,別行見出し(独立した行として配置する見出し),同行見出し(見出しの次に改行を入れることなく,文章を続ける見出し),窓見出し(見出しだけで1行を構成することなく,見出しの次に2行又は3行の本文文字列を続ける見出し)がある。これらについての処理方法を規定している。別行見出しでは,一般に行取りによる指定が行われており,その方法も規定している。
3 図・写真等の処理 図・写真等の処理では,本文と図・写真等の配置位置が連動する処理方法について,相対位置指定と絶対位置指定による方法を規定している。いずれも本文中で図・写真等の出現位置の指示を行うが,絶対位置指定では,ページ又は版面からの絶対的な位置を指定するのに対し,相対位置指定の行送り方向の配置位置は,本文中の図・写真等の指定の出現位置に連動する。いずれの方法でも,指定の出現したページに図・写真等が配置できればよいが,配置できない場合が問題であり,その処理方法も規定している。相対位置指定では,版面などの内部に配置する部分と,はみ出す部分との長さを比較して,配置するページを決定する。絶対位置指定では,図・写真等の出現位置の指示がどこに出現するか,最初の出現位置と,図・写真等を配置した後における出現位置とを比較して配置するページを決定する。
さらに,組版処理を考える場合,実際の出版物等における設計方法とその処理内容を考慮して,種類と構造(構成)を確認することが大切である,との指摘があった。
なお,報告の終了後,活発な質疑応答,意見交換が行われた。
(文責:小林 敏)