第15回国際出版研究フォーラムが,東京経済大学大学院コミュニケーション学研究科博士課程開設10周年記念国際シンポジウムとして,学会・同大との共催で2012年10月20日(土)と21日(日)の両日,東京国分寺の東京経済大学を会場に開催された。この時期は領土問題を巡って,日本・中国・韓国が政治的には緊張をはらんでいたものの,中国からは13名,韓国からは4名の方々の参加を得て,フォーラムは延べ131人の参加者で活発な発表と議論が展開された。
「転換期におけるメディアとしての出版」のテーマにふさわしく,「出版の定義」や「読者の変容」を巡っての発言も多く,このフォーラムが3カ国の情報共有の場から議論の場へと発展して来ていることを印象づけた。4つのサブテーマ(1)産業・流通の視点からみた出版,(2)デジタル革命の視点からみた出版,(3)出版史・出版教育の視点からみた出版,(4)知財・法制の視点からみた出版で展開されたフォーラムの概要をレポートする。
テーマ: 転換期におけるメディアとしての出版
開催時期:2012年10月20日(土)~10月21日(日)
会 場: 東京経済大学 国分寺キャンパス
〒185-8502 東京都国分寺市南町1-7-34
[プログラム]
◎第1日目 10月20日(土) 10:00~15:50 (会場:2号館B301教室)
〈開会式〉 10:10~10:30
日本出版学会会長あいさつ 川井良介
東京経済大学学長あいさつ 久木田重和
〈パネルディスカッション〉 10:30~11:30
デジタル時代における出版及び出版文化の将来
パネリスト 日本:植村八潮,韓国:尹世● (●=王+民),中国:田勝立
〈第1セッション:産業・流通の視点からみた出版〉 12:40~14:10
(1)中国における電子書籍産業の現状分析
張志強 李鏡鏡
(南京大学情報管理学院出版科学学科/南京大学出版科学研究所)
(2)メディアとしての出版産業の変化と未来
韓珠利(ソイル大学メディア出版科教授)
(3)東日本大震災と出版業界-未曽有の事態にどう対応したのか
菊池明郎(筑摩書房)
〈第2セッション:デジタル革命の視点からみた出版〉 14:20~15:50
(1)デジタル時代に入り込む伝統出版
任 火(河北聯合大学出版管理センター)
(2)デジタル革命の視点からみた出版
尹世●(敬仁女子大学教養学部教授) (●=王+民)
(3)日本における電子出版の進展と電子納本制度の課題
湯浅俊彦(立命館大学)
◎第2日目 10月21日(日) 10:00~16:00 (会場:2号館B301教室)
〈第3セッション:出版史・出版教育の視点からみた出版〉 10:00~11:50
(1)大学における出版教育のあり方を考える-大学におけるシラバス調査から
蔡星慧(学習院女子大学講師)
(2)中国におけるデジタル出版の教育現状の分析
李建偉(河南大学新聞と伝播学院)
(3)転換期メディアとしての出版の空間拡張-出版社・出版教育の視点からみた出版
南爽純(韓国出版学会会長、韓国ミン浦大学校教授)
(4)ベストセラーリストの分析
川井良介(東京経済大学)
〈第4セッション:知財・法制の視点からみた出版〉 13:30~15:20
(1)日本出版社の海外ライセンス販売-マンガを事例に
玉川博章(日本大学)
(2)中国における出版のデジタル化と版権保護について
田勝立
(3)知的財産権の観点からみたデジタル技術と出版産業
金基泰(世明大学媒体創作学科教授)
(4)著作権制度と出版をめぐる状況
和泉沢 衛(東京経済大学)
〈総括討論・閉会式・記念写真撮影〉 15:30~16:00
パネリスト 日本:川井良介,韓国:南爽純,中国:李建偉
〈閉 会〉 16:00