第20回国際出版研究フォーラム《概要》山崎隆広(2022年8月25日)

概 要

 山崎隆広
 (群馬県立女子大学/
  日本出版学会国際交流委員会委員長)

 
 第20回国際出版研究フォーラム(主催:中国編輯学会)は、2022年8月25日(金)10時から13時45分(日本時間)の日程で、Zoomを経由したリアルタイムのオンライン会議形式にて開催された(日本からの参加事前申込者は会員28名、一般4名、参加者24名)。
 「デジタル出版の未来趨勢(すうせい)の展望」という全体テーマが掲げられた今大会では、中国、韓国、日本の3カ国からの計11名による熱のこもったビデオプレゼンテーションと議論が行われた(当日の次第や発表題目等は出版学会HP https://www.shuppan.jp/reports/forumkiroku/2022/08/21/2314/を参照)。
 日本からの発表者3名については、まず宮下義樹会員がデジタル時代の著作権の観点から現代の図書館が抱える問題点や可能性などを報告。次のユニットでは、鈴木親彦会員が、専門とする文化資源学の観点からデジタル時代における古い美術作品等の史資料の新たな利活用の可能性について報告した。つづくユニットでは、鷹野凌会員より、大学の演習で行っている書籍編集・制作実践の試み「NovelJam」についての最新の事例報告がなされた。それぞれの報告の詳細については最新の『出版研究』第53号でも紹介されているので、是非そちらもご参照いただきたい。
 各国からの報告の内容は、大会共通テーマのデジタル化をめぐる問題に加えて、多少なりとも現在の社会状況を反映、意識したものとなったように思われる。収束しないコロナ禍、不安定な世界情勢などの影響もあり、大会直前まで開催方法の詳細が確定できないなどの混乱はあったものの、思い通りにならない不自由な状況だからこそ、それらを克服すべく主催者、関係者たちが工夫をこらし、プレゼンテーションを行なった。その過程を通じて積み上げられた経験は、きっと今後の貴重な知見となって3カ国の間で受け継がれていくことだろう。フォーラム当日までの大変な運営にご協力いただいた関係者の皆さまに、改めて深く感謝申し上げたい。
 次回は2024年秋に日本での開催を予定し、本学会としては3大会ぶりの対面開催とすることを企図している。3カ国の関係者たちが久しぶりの直接交流を楽しむ機会となることを待ち望んでいる。