日本出版学会 出版法制研究部会のご案内(2017年9月28日開催)

■日本出版学会 出版法制研究部会(2017年度第3回研究会)のご案内(2017年9月28日開催)

ヘイトスピーチ解消法と表現の自由との問題

日 時: 2017年9月28日(木) 18時00分~19時00分
報 告: 田上雄大(日本大学助教)
場 所: 日本大学法学部 本館1081教室
        東京都千代田区三崎町2丁目12
     http://www.law.nihon-u.ac.jp/access.html
会 費: 無 料
定 員: 40名(満席になり次第締め切ります。やむなくお断りすることもあります)

主 催: 出版法制研究部会(部会長:樋口清一/副部会長:瀧川修吾)

申込み・問合先: 瀧川修吾(takigawa.shugo@nihon-u.ac.jp
   ※ 準備の都合上、「メール」でお申込いただければ幸いです。

 

 ヘイトスピーチに関して、我が国では、2016年に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(通称:ヘイトスピーチ解消法)が制定された。この法律自体は、理念法であり、直接罰則が規定されているわけではない。しかし、同法は、現に横浜地裁川崎支部による決定(横浜地川崎支決平28.6.2判時2296号14頁)で用いられているように、理念法でありながらも、事実上、裁判規範のごとく機能している。こうした現状に対しては、同法の存在が表現の自由を制約しているという見方も少なくないが、他方で、ヘイストスピーチに対する規制が不十分であるとして、さらなる規制を求める声も出ている。
 「ヘイトスピーチ=悪」といった単純な図式で、同法における規制が強化されれば、表現の自由に対する規制が肥大化し、思わぬかたちで言論や出版物に対して萎縮的効果をもたらたすおそれがある。また、ヘイストスピーチ解消法が擁護の対象としているのは、「専ら本法の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの」であり、例えば日本国民がここに含まれていないことから、憲法第14条に規定されている法の下の平等にも反するおそれがあるとの指摘もなされている。
 本報告では、従来の表現の自由に対する制約や平等原則についての判例・学説を概観したうえで、現行のヘイストスピーチ解消法の問題点について論じる。