中国,韓国の「出版の意義,活動」についての感想  田中 崇

■中国,韓国の「出版の意義,活動」についての感想

 田中 崇

 今回の「第14回国際出版学術会」は中国編輯学会(China Redactological Society)の主催で,テーマは「編輯出版および文化」であり,出版業の研究でなく,文化選択,文化構築,文化積み上げ,文化伝達の担当者としての編輯出版,に関する研究発表,交流の会議であった。

〈中国〉
 会議に寄せた中華人民共和国新聞出版総署署長や中国編輯学会の会長の挨拶によると,中国の編輯学会の理念は「大文化」「大媒体」「大編輯」であり,文化貢献,媒体拡大,編輯の質の向上,という国策の推進である。
 多くの大学の編輯,新聞などの学科では,孔子の時代からの儒教,歴史,文学関係の出版の深い研究がなされている。
 今回の会議を後援した「鳳凰出版伝媒集団」は国家管理であるが,中国の改革開放の方針から,経営は民間的となっており,テレビ,映画,出版など総合メディア事業で年商一千億円ほどの事業である。このように現在,多くの民間的出版社があり,マスコミ媒体の民営化,国際化も進んでいるようである。

〈韓国〉
 韓国は今や,世界で10番目ともなる出版大国であるが,出版事業では過去,政治体制の変化によって,国家方針との整合性への対応に困難を伴った。
 文字も漢字,ハングル,日本語,英語が一般に使われていた時代もあり,そのような背景がパジュウ出版都市のような国家事業的な大プロジェクトが実行される基礎にもなっていると思われる(ソウル郊外47万坪で140の出版,印刷,配送,住居,厚生の会員会社の総合都市)。

〈まとめ〉
 中国,韓国とも,出版の原点に関する研究やコンテンツの開発,更には新媒体への移行や国際化の点において,日本より対応が早いのではないかと感じられた。