雑誌人権ボックスの5年間と出版ゾーニング委員会  渡辺桂志 (2007年10月19日)

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■ 出版法制研究部会   発表要旨 (2007年10月19日)

雑誌人権ボックスの5年間と出版ゾーニング委員会

 今回の研究会では,日本雑誌協会主管で日本雑誌記者会事務局長の渡辺桂志氏に雑誌人権ボックスと出版ゾーニング委員会についてのお話を伺った。
 雑誌人権ボックスは,2002年3月に発足して5年が経つ。その間に寄せられた苦情件数は,90件であるが,要件を満たす案件,すなわち名誉毀損やプライバシー侵害といった人権問題に関するものは9件と少ない。4ヶ月に一度,日本雑誌協会の会員各社の誌面約30誌で告知を行っているが,もっと周知に力を入れる必要があるかもしれない。しかし,苦情は全国から来ており,周知徹底はかなり進んでいるとの見方もできる。要件を満たす案件が少ないのは,あくまでも裁判などを容易に利用できず,かといって反論する機会もないような弱者としての私人に対象を絞っているため,記事として取り上げられる場合が少ないことの方が要因であるかもしれない。要件を満たす案件以外でも,できる限り該当者には連絡して対応しているので,苦情受付窓口としては,ある程度定着したようだ。ただし,苦情処理機関の役割までは果たしきってはいない。
 出版業界で一番倫理の問題になりがちな,青少年に対する有害な雑誌類についても,2001年に第三者機関として出版ゾーニング委員会が設置された。区分陳列販売を目的に設立されたこの委員会は,青少年に不適当と判断したものには出版ゾーニングマークの表示を要請する。この活動に端を発し,出版界では,上下二ヵ所をシールで止める所謂シール止め自主規制が,現在アウトサイダーも含め約200誌,部数にして約2千万部で行われている。出版ゾーニング委員会の主旨からシール止め誌は審査対象から外してあり,東京都も,自主規制を尊重する立場からこのシール止め誌を不健全図書の指定外としている。しかし,東京都青少年課から,シール止め誌の中身が過激になっており,ゾーニングマークを表示するか,内容のレベルを落として欲しい旨の要請があった。この現状が続けばシール止め誌も不健全図書指定をされるおそれがあるため,ゾーニング委員会としての対処が必要となっている。
 このほか最近のメディア規制についても話が及んだ。