中国における日本社会科学関係書籍の翻訳・出版について  劉 迪 (2009年12月8日)

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出版経営研究部会 発表要旨 (2009年12月8日)

中国における日本社会科学関係書籍の翻訳・出版について
劉 迪 氏

 12月8日,出版経営研究部会・第3回例会が日本大学法学部2号館で開催された。報告者は劉迪・杏林大学准教授でテーマは「中国における日本社会科学関係書籍の翻訳・出版について」であった。
 中国の出版活動は盛んであるが,諸外国の出版物の翻訳も活発であり,日本の出版物も次々翻訳出版されている。では,日本の社会科学関係出版物の翻訳出版状況はどうなのだろうか。
 まず劉氏は,中国の4つの近代化政策と欧米および日本の近代化モデルの関係を位置づける。そして,改革解放初期,80年代,天安門事件以後,21世紀,の4期における日本の人文社会科学書の翻訳出版物の具体的な事例を紹介していく。「日本文化與現代化叢書」(加藤周一・葉渭渠・唐月梅監修,吉林人民出版社),そして「早稲田大学法学叢書」(法律出版社),「現代日本社会科学名著訳叢」(中国人民大学出版社),『近代日本人中国遊記』(中華書局),「現代日本社会学名著訳叢」(商務印書館)などのシリーズものの内容について紹介し,翻訳出版の選別基準,翻訳者問題,採算等収益構造,出版流通事情,翻訳報酬,そして学術出版社,大学出版部の現状・課題について報告した。レクチャー後は活発な質疑応答があった。
 ちなみに劉氏は「日本学術文庫」の編集長・翻訳者でもある。このシリーズは2006年に和辻哲郎『風土』,土居健郎『甘えの構造』の翻訳出版によってスタートを切り,以後,辻清明『日本官僚制研究』,岡倉天心『東洋の理想』,津田左右吉『日本の神道』,内藤湖南『日本文化史研究』,丸山真男『現代政治思想と行動』,加藤周一『知識人の責任』,京極純一『日本政治』,芳賀矢一『国民性十講』など150巻に及ぶ大きな翻訳シリーズである。
(文責:木下修)