「雑誌の再生とデジタル化を考える」梶原治樹(2016年3月11日)

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<「出版技術・デジタル研究部会/出版流通研究部会」2016311日>

雑誌の再生とデジタル化を考える

梶原治樹

3月11日に開催された「共催部会のうち、後半部分の「雑誌の再生とデジタル化」に関する部分のみ掲載する。

1. 雑誌デジタル化のモデルを整理する

 「雑誌メディアのデジタル化」は、その手法やビジネスモデルが多岐にわたっており、一般書籍やコミックに比べると多様な形態がとられている。

そこで、hon.jpの落合早苗氏の分類方法をもとに、雑誌のデジタル化モデルを以下の4つに分類した。

1)「無償=ノンパッケージ型」

雑誌ブランドを用いたWebメディアのようなものが挙げられる。「日刊サイゾー」のように紙媒体よりも大きな収益をWeb広告で稼ぐ媒体も出始めている分野である。

2)「有償=ノンパッケージ型」

課金型Webサイトが挙げられる。まだ数多くないが、講談社が『クーリエ・ジャポン』の紙媒体を休刊して会員制Webサイトを立ち上げるなど、今後事例が増えてくる可能性が高い。

3)「有償=パッケージ型」

紙の雑誌の誌面をそのままデジタル化して読者に販売するモデルであり、「マガストア」などの電子雑誌書店や、「dマガジン」のような雑誌読み放題サービスが盛んである。

4)「無償=パッケージ型」

紙の雑誌の販促物としてデジタル雑誌を配布するケースなどがあげられ、文教堂書店の「空飛ぶ本棚」、TSUTAYA「AirBook」などがサービスを提供している。

ここにあげたものの中でも、特に「dマガジン」は250万人以上の会員を獲得し、出版社にとっても大きな収益源のひとつとなる一方、書店や販売会社からの「紙の売り上げを棄損しているのではないか」という批判を集めることともなっている。

この手の「雑誌のレプリカ版」をデジタル化するモデルはあくまで過渡期のサービスととらえ、今のうちから新しいデジタル化の手法、サービスモデルの構築を行う必要があると思われる。

 

2. いまこそ「読“誌”推進運動を」

雑誌という、写真と文字を効果的にレイアウトした表現形態や、読者ターゲットを絞りこんだ質の高いコンテンツには今後も多くの需要があるだろう。しかし、メディア環境が激変し、多くの人たちが雑誌に触れなくなってきている現状では、改めて「雑誌に触れるきっかけづくり」が必要になっていると実感する。

書籍の世界では「ブックスタート」「朝の読書運動」などが盛んに行われているが、雑誌においてはそういった活動は希である。今後は「読書推進運動」だけでなく「読“誌”推進運動」が必要になっていくのではないだろうか。

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梶原会員は、最後に「大学生向けの講演や雑誌企画コンペ企画などを通じて、雑誌を読む楽しみ、雑誌を作る喜びを伝えることの重要性を感じてきた。今後もさまざまな立場から「雑誌の未来」づくりに携わりたいと思う。」と述べ、報告を終えた。

参加者:33名(会員19名、一般14名。会場:八木書店会議室)

(文責:出版流通研究部会)