2019年電子出版ビジネスの現状と今後の展望 植村八潮・星野渉・矢口博之・鷹野凌 (2020年2月25日開催)

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■ 日本出版学会 2019年度 第2回 出版デジタル研究部会 開催要旨 (2020年2月25日開催)


2019年電子出版ビジネスの現状と今後の展望
――出版社における電子書籍・デジタル雑誌ビジネス実態調査報告


 報告者:
  植村八潮 (会員、専修大学)
  星野 渉 (会員、文化通信社)
  矢口博之 (会員、東京電機大学)
  鷹野 凌 (会員、HON.jp)


 昨年に引き続き、電子出版制作・流通協議会が主催するセミナーと共催の形で2019年度第2回となる出版デジタル研究部会「2019年電子出版ビジネスの現状と今後の展望~出版社における電子書籍・デジタル雑誌ビジネス実態調査報告~」を開催した。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、開催については関係各位と協議を重ねたが、感染拡大に配慮することに加え、遠隔から参加できる方法を確保したうえで開催することとした。その結果30名ほどyoutubeで参加頂いた方がいた旨、事務局より報告を受けている。またslidoにより質問を受け付ける体制を整えての実施となった。

 電子出版制作・流通協議会の川崎氏からの挨拶、植村会員からの趣旨説明に続き、星野会員から2019年の電子書籍の出版、流通に関するトピックについて解説があった。報告では、ここ数年、電子書籍、デジタル雑誌などデジタル出版については高い成長を示していたが、紙出版物を含む出版市場全体は減少が続いていた。しかし2019年はデジタル出版の伸びが紙出版物の減少を補い、出版市場全体が上向く結果となった。その一方で書店数や取次流通量の減少が目立つ、とのことであった。
 矢口会員より、文化通信社、東京電機大学、電流協が共同で毎年実施している電子書籍アンケート「出版社における電子書籍・デジタル雑誌ビジネス実態調査」の結果報告があった。調査結果の内容自体は昨年の調査結果と同じような傾向であった。また今年追加した調査項目として、読書バリアフリー法への対応状況や海賊版対策の状況があり、読書バリアフリー法への対応はあまり進んでいないこと、海賊版対策は約7割が未対応であり、文化通信の見出しにもなったが、海賊版の被害にあっていない出版社も多いことから若干ミスリーディングになってしまったことについての報告があった。
 鷹野会員からは、電子出版における新たな潮流として、プリントオンデマンド(pod)、セルフパブリッシング、パッケージ化されていない(ISBNコードのつかない)出版物の紹介、ブロックチェーンを使ったDRM、さらに近い将来の事項として5G(第5世代移動通信システム)、AI(Artificial Intelligence:人工知能)、AR(Augmented Reality:拡張現実)、VR(virtual reality:仮想現実)の利用に関する報告があった。

 その後、休憩を挟み、植村氏が司会となりパネルディスカッションを行った。パネルディスカッションでは、市場動向に関する話題、プリントオンデマンド(pod)の利用、紙書籍の流通に関する話題、電子書籍のみやすさや高齢者対応などについて会場参加者からの情報提供や質問を含め活発な議論が行われた。

(文責:矢口博之)


日 時: 2020年2月25日(火) 14時~16時30分
会 場: JCIIビル 6階会議室
参加者: 40名 (会員12名、その他28名、youtubeによる遠隔参加30名)