活版印刷見学会:モトヤ (2016年4月9日)

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■関西部会 開催要旨(2016年4月9日)


活版印刷見学会:モトヤ


 関西部会では「出版史研究の手法を討議する」シリーズを開催し、多角的に研究手法を探ってきたが、参加者より出版の現場を見学したいとの声が高まっていた。現場を踏まえた議論の必要性からである。
 今回は、株式会社モトヤ(大阪市中央区)内の「活字資料館」、新風書房(大阪市天王寺区)を見学した。
 株式会社モトヤは古くは印刷用活字の製作、近年ではデジタルフォントで知られる印刷機器メーカーである。社内の「活字資料館」では活字の母型、母型を製作するためのベントン彫刻機、活字鋳造機、組版機器、明治から昭和30年代の国内外の書体の各種見本帳など往時の活字や製作機材が展示されており、撮影や展示物に触れることが可能で、往時の雰囲気を体験することができる。(見学にあたっては同社に事前連絡が必要)。
 筆者の感想を簡単に記そう。現在のデジタル制作になれた我々からは、文章の修正やレイアウトの変更で生じる組版のやり直しは、想像以上に骨の折れる作業だ。出版の版というものが情報の固定化を意味するが、こうした現場の作業に基づくものであることが実感できた。(株)モトヤは活字の製作を1996年に終了したが、同社のデジタルフォントは日刊紙からスマホやWEBまで数多く採用され、日常生活で一日に何度かは目にするものである。アナログからデジタルへの移行において引き継がれるものとそうでないもの、その分析と問いかけは、出版研究のテーマとして常に問われていくものだ。
 同社の野口勝氏、芳仲孝夫氏より説明を受け、会員は各自のテーマに沿った質問を次々と投げかけ、関心が尽きなかった。続いて一行は、新風書房(福山琢磨社長、大阪市天王寺区)に移動。新風書房は自費出版で知られる関西の出版社である。福山社長から出版の印刷工程や「自費出版」モデルについて説明を受け、その後、参加者同志で懇親の場を持った。
*参加者25名
(文責:中村 健)