電子書籍購入の新しい仕組みとメタデータ流通 入江伸・藤本優子 (2019年8月20日開催)

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■ 学術出版研究部会 開催要旨 (2019年8月20日開催)


電子書籍購入の新しい仕組みとメタデータ流通
――DDA(Demand-Driven Acquisition)による購入の現状と課題


講師: 入江 伸 ・ 藤本優子 (慶應義塾大学メディアセンター)


 慶應義塾大学メディアセンターは、2016年度からProQuest Ebook Central(ProQuest)、2017年度からMaruzen eBook Library(丸善雄松堂)の二つの電子書籍プラットフォームにおいてMediated Demand-Driven Acquisitionによる電子ブックの購入を行っている。Mediated DDAは、購入前のコンテンツを5分間試読することができ、利用者が必要とする資料について図書館にリクエストを送り、図書館員が購入可否を決定する仕組みである。

 まずは、2012年に終了した電子学術書利用実験から今日までの経過を振り返った後、DDAについてProQuest Ebook Centralのデモを含めた説明が行われた。ディスカバリーを通して利用者は必要なときに必要な資料をリクエストすることができ、図書館は利用者のニーズを拾い、管理者画面から迅速に資料を購入・提供することができる。この仕組みは定着しつつあり、全キャンパスの利用者からリクエストが届き、購入タイトル数も利用も増加している。相乗効果により冊子体のリクエストも増加傾向にある。

 続いて、慶應で使用している図書館システムAlmaとディスカバリーサービスPrimo Centralの概要の紹介があり、最大の課題となっているメタデータの問題点について説明が行われた。現在、試読か購入済みかに関わらず、ディスカバリーを通してアクセスできないタイトルが多々存在する。AlmaとPrimo Centralに搭載されている情報は完全に一致しているわけではないため、①リンク解決のキーとなるISBNがない、②同じISBNで複数のリンク先がある、③書誌が非常に簡易といった理由から検索やリンクに不具合が生じている。

 冊子体と電子では販売方法も管理の仕方も全く異なっている。出版社・プロバイダーはシステムを理解した上でメタデータを提供・登録する必要があり、問題解決に向けてシステムベンダーと図書館の三者で調整する場となるコミュニティーが必要ではないかという提案で締めくくられた。参加者を交えた討論では、出版社側の現状やメタデータ流通に関する問題提起を受けてのコメントなど活発な意見交換が行われ、電子の出版物にはISBNを付与することが必須であると確認した。


日 時: 2019年8月20日(火) 午後6時30分~8時30分
場 所: 専修大学神田キャンパス 2号館1階101教室
参加者: 46名 (会員21名、非会員25名)

(文責:藤本優子)